SWOT分析

このページで分かること

  • SWOT分析の基本、戦略策定との関係
  • 内部環境と外部環境の違い
  • 真の強み、真の機会の見極めの重要性
  • 強み・弱み、機会・脅威の具体例

定義

企業経営に関わる様々な要因を、内部環境要因の「強み・弱み」と、外部環境要因の「機会・脅威」として整理する手法。
経営の現状を客観的に評価し、経営戦略の策定や経営改革に取り組む際の出発点となる基本的なフレームワークである。

1960年代にアルバート・ハンフリーらが、スタンフォード研究所でSOFT分析を開発し、その後、ケネス・アンドルーズらにより、戦略策定のフレームワークとして体系化された。

SWOT分析における内部環境要因と外部環境要因

人材・組織、設備、製品・サービス、知的財産・ノウハウ等、企業自体の経営資源に関わるものを「内部環境要因」という。

市場・競合環境や、人口構造の変化、政治・経済・社会の動向、技術革新等、企業を取り巻くものを「外部環境要因」という。

内部環境要因が企業によって統制可能なものであるのに対し、外部環境要因は基本的に統制不可能なものである。

「強み」「弱み」、「機会」「脅威」とは

ジェイ・バーニーは、「企業戦略論」のなかで、これら4要素を次のように説明している。

  • 強み:企業の経済価値や、そして場合によっては競争優位を創出する経営資源
  • 弱み:強みがもたらす経済価値の実現を困難にする、もしくは経済価値を減じてしまうような経営資源
  • 機会:企業の競争優位や経済的パフォーマンスを向上させるチャンス
  • 脅威:企業の競争優位や経済的パフォーマンスを減殺する働きをするもの

それぞれの要因の具体例

強みと弱み

経営資源に関わる要因が代表的である。
なお、強みは「自社がそう思っていること」ではなく、
「顧客が価値を感じ、競争相手と比べて優れていること」である。

※太字なら強み、()なら弱み

  • 人材や組織
    「誰が」「どのような体制で」取り組んでいるかという、模倣が困難な要素
    • 高度な知識や技術を有した社員が存在する(しない)
    • 組織がフラットで意思決定が早い(遅い)
    • 顧客ニーズに基づく提案能力が高い(低い)
  • 設備や製品
    物理的な資産や、市場での競争優位性のある要素
    • 自社独自の製造設備がある(ない)
    • 競争優位性のある製品(商品)やサービスを提供している(提供していない)
    • 在庫管理と連動した短納期の物流システムを備えている(備えていない)
  • 財務構造や資金調達力
    戦略を実行するために必要な資金調達力や財務構造の安定度
    • 同業他社に比べて収益力が高い(低い)
    • 金融機関と良好な関係にあり、資金調達が容易である(難しい)
    • 在庫投資の最適化により、キャッシュフローで次の成長投資が容易である(困難である)
  • 技術やノウハウ
    他社にはない技術やブランド力など無形の資産
    • 高精度の製造技術がある(ない)
    • ローコストで製造するノウハウがある(ない)
    • 販売データに対応した、適切な品揃えを行うことができてる(できていない)

ここで抽出した「強み」については、「VRIOフレームワーク」などを使って、「真の強み」を見極めることが大切である。
VRIOフレームワークページで詳しく解説。

機会と脅威

政治・経済・社会・生活・自然環境の変化など、企業を取り巻く多くの要因がある。
これらマクロ要因については、各要因の頭文字をとった「PEST分析」として整理する。
※太字なら機会、()なら脅威

  • 政治的要因(Politics)
    • SDGsやGX(グリーントランスフォーメーション)関連の補助金・優遇税制
    • (特定の国や地域への依存による、関税問題やサプライチェーン毀損のリスク)
  • 経済的要因(Economy)
    • 新興国の所得向上による高付加価値製品の需要増
    • (原材料やエネルギー価格の高騰)
  • 社会的要因(Society)
    • 多様な価値観に対応した少量多品種生産のニーズ増加
    • (少子高齢化による熟練工の引退と、若手技術者の確保困難)
  • 技術的要因(Technology)
    • AI・IoT活用によるスマートファクトリー化
    • (オープンイノベーションによる技術の移転や陳腐化)

「脅威」の中で、特に市場・競争に関する要因については、
「ポーターの5つの力(Five Forces)」を参考にすると良い。
「5つの力」とは、競争市場において企業がさらされている5つの脅威(競争要因)である。
5つの力(Five Forces)で詳しく解説。

機会については、一般的な要因の列挙にならないよう、
「トレンドか」「参入可能性があるか」「自社の強みを活かせるか」「市場規模が十分か」「収益化できるか」といった視点から、
価値のある機会を見極めることが大切である。

SWOT分析表による整理

以上の「強み」・「弱み」、「機会」・「脅威」はSWOT分析表としてまとめることができる。

SWOT分析表の例

機会 脅威
・SDGsやGX関連の補助金・優遇税制

・新興国の所得向上による高付加価値製品の需要増

・多様な価値観に対応した少量多品種生産のニーズ増加

・AI/IoT活用によるスマートファクトリー化(※)

・関税問題やサプライチェーン毀損のリスク

・特定の国や地域への依存による、関税やサプライチェーン毀損のリスク

・原材料やエネルギー価格の高騰

・少子高齢化による熟練工の引退と、若手技術者の確保困難

強み 弱み
・高度な知識や技術を有した社員

・競争優位性のある製品(商品)やサービスを提供

・金融機関と良好な関係で資金調達が容易

・高精度の製造技術がある

・特定の国や地域への依存による、関税問題やサプライチェーン毀損のリスク

・原材料やエネルギー価格の高騰

・熟練工の引退と若手技術者の確保困難

・技術の移転や陳腐化

(※)AI・IoTは、導入済なら強み、未導入なら機会となる。

注意点

各要因を抽出したあとで、
重要な項目が漏れていないか、
一般的な表現にとどまっていないか、
表現が抽象的過ぎたり具体的過ぎたり、バラつき(粒度の違い)がないか、
確認しながら進めると良い。

経営支援における活用方法

SWOT分析は、企業の置かれた環境を整理する基本的なフレームワークである。
この分析を出発点に、
VRIOフレームワークで真の強みを見出し、
価値につながる機会を捉えることにより、
重点的な方向性を見いだすことが、
戦略や改善策計画の策定につながって行く。

経営支援におけるSWOT分析の位置づけについては、[経営支援の内容(現状整理・構造理解)]のページで説明してます。

当研究所では、
・ヒアリング
・財務分析
・市場分析
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