経営戦略,マーケティング,IT活用のトータルコンサルタント アオヌマ経営情報研究所 青沼泰彦
経営用語集【購買心理モデル(AIDMAからAISASへ)】
購買心理モデル(AIDMAからAISASへ)
顧客が商品やサービスに初めて出会った時から,購入に至るまでの心理をモデル化したもの.
「AIDMA(アイドマ)」モデルは,1920年に米国のS.R.ホールがRetail Advertising and Sellingで提唱した.
- Attention(注意)…商品やサービスの存在を知る
- Interest(関心)…興味や関心を抱く
- Desire(欲求)…欲しいと思う
- Memory(記憶)…商品やサービスを記憶し購入を検討する
- Action(行動)…実際の購買行動に移る
AIDMAモデルは,商品情報を店舗や新聞・雑誌・テレビなどのマスメディアから受動的に受け取っていた時代のものであった.
その後,F.コトラーは,問題認知,情報探索,代替品評価,購買決定,購買後の行動,という消費者購買プロセスのモデルを示した.
1990年代後半からのインターネットの普及に伴い,次のような大きな変化が起こり,新たなモデルが求められるようになった.
- 商品に関わる「情報」の重要性が,以前とは比較にならないほど高まったこと
- 情報を検索・収集し,購買後は発信することが一般化したこと(2004年頃から「Web2.0」が拡大)
- 注意を喚起される場と,購買の場は必ずしも一致しなくなったこと
このような時代変化に合わせ,2005年に(株)電通が「AISAS(アイサス;商標登録)」モデルを提唱した.
- Attention(注意)…商品やサービスの存在を知る
- Interest(関心)…興味や関心を抱く
- Search(検索)…商品や提供者の情報,購買者による評価を検索する
- Action(購買)…興味や関心を抱く
- Share(情報共有)…評価や意見などを発信し共有する
また,米国のR.D.ブラックウェルは「RSAESモデル」を提唱した.
- Recognition(認識)
- Search(検索)
- Alternative(比較)
- Experience(体験)
- Share(情報共有)
AIDMAモデルとAISASやRSAESモデルの大きな違いは,次の点にある.
- 情報の検索が購買に決定的な影響を及ぼすこと
- 商品の存在を知った場所と実際の購買経路は一致しない場合が多いこと
- 購買後の情報発信や共有により,購買者が能動的な行動に移る傾向が強いこと
関連する購買意志決定のモデル
- 1980年代初頭にスカンジナビア航空が「Moment of Truth(真実の瞬間)」を
- 2005年にP&Gが、「第1の瞬間(FMOT: First Moment of Truth 陳列商品を目にして購入するかどうかを決める瞬間)」・「第2の瞬間(SMOT: Second Moment of Truth 購入後に実際に商品を使用する瞬間)」を
- 2011年にGoogleが、「Zero Moment of Truth(ZMOT)」「刺激」→「情報収集(ZMOT)」→「陳列棚(FMOT)」→「体験(SMOT)」を提唱した.