ウィリアム・シェイクスピア(著) 福田恆存(訳) 新潮文庫
作品名と著者は知っているが、実際に読んだことはないという本は多いものである。
シェイクスピアもその1人。
戯曲という形式になじみがなかったが、代表作であるハムレットを読んでみた。
1600年前後に発表されたまさに古典である。モチーフとなったデンマークのさらに古い物語があったことを初めて知った。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ(To be, or not to be, that is the question.)」はあまりにも有名だが、他にも多くの名言や箴言がちりばめられている。
元来、劇の脚本として書かれただけに、読んでいるうちに実際の舞台を見ているかのような錯覚に陥る。
人物の心理描写、豊饒な台詞、物語の劇的な展開、ともに見事である。