国際秩序

ヘンリー・キッシンジャー (著), 伏見威蕃 (翻訳) (上・下) (日経ビジネス人文庫  2022年)

ニクソン、フォード政権で国務長官を務め、2022年に100歳で亡くなったキッシンジャーが、近現代の歴史を「秩序」という構造から分析した書。

氏によれば、1648年に終結した三十年戦争後の「ヴェストファーレン体制」が、今日まで続く歴史の基本的な構造ー「国際秩序」をなしているという。

約五百年間、世界の歴史はこの秩序を基本として意思決定を行った国々と、この秩序に組み込まれることを拒んだ国々との複雑な関係で歩んできたことが、ダイナミックに描かれている。

歴史書の多くは、特定の国や地域についての通史や、年代ごとの主な出来事ーそのほとんどは戦乱であるがー、科学、技術、文化を編年体で綴っている。

相互に絡み合いながら動いてきた世界史の「全体像」が理解できる書である。