「癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか」

アンドルー・ワイル(著),上野 圭一(訳) 「癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか」 (角川書店)
西洋医学以外の代替医療全般と、自発的治癒について解説した啓蒙的な本で、世界的なベストセラーになりました。
内容は、治癒系の仕組み、こころが治癒に果たす役割、治癒系を最大限に活かす方法、様々な代替医療による治癒の事例、病気になったときの治療法の選びかた等です。
多くの事例の中で、オステオパシー医のフルフォード博士(*1)に多くのページが割かれています。
フルフォード博士との出会いが、著者にとって代替医療全般への転機となっています。
オステオパシーでは、出生時の呼吸やその後の外傷等によって頭蓋骨や仙骨の動きが制約されていることが様々な病気の原因であると考え、その制約を緩めるため手技による治療を行うということです。
著者がフルフォード博士から学んだのは、
・「からだは健康になりたがっている」
・「治癒は自然の力である」
・「からだはひとつの全体であり、すべての部分はひとつにつながっている」
・「こころとからだは分離できない」
・「治癒家の信念が患者の治癒力に大きく影響する」 といったことです。
なお、著者のアンドルー・ワイルはハーバード大学医学校を卒業した医学博士であり、現代医学を否定しているわけではありません。 治癒系の仕組みの項では、DNAレベルや酵素による修復メカニズムが詳しく説明されています。
また、緊急を要する症状の場合は現代医学(救命救急治療)が最良の選択であることも強調されています。
本書で紹介されている様々な代替医療に素人判断で飛びつくのではなく、こころの果たす役割に注目したいと思います。 つまり「こころの転換が、治癒の扉を開けるマスターキーなのかもしれない。」ということです。
(*1)「いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力」の著書があります。