養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること

養老 孟司(著)「養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること」 新潮社

季刊雑誌の「考える人」に、9年間にわたり連載した文章をまとめた三部作の第一作目。

内容は、紀行や虫の話から、日本社会と個人に関する氏の思想の根幹に及び、エッセイよりも深みがある。

氏の基本的な態度である、世間の常識を問い直すことから、真の言論が始まることを教えてくれる。

「個人心理など存在しない」

「他人への理解が遅れると、人生が遅れる。私の場合、六十五歳で本が売れたのは、遅きに失した。なぜ人生が遅れたかというなら、他人を理解することが遅れたからである。」(「個人主義とはなんだ」より)

なるほど。

(2012年1月19日)