宇宙からの帰還

立花隆が、アメリカ人宇宙飛行士たちに膨大な時間をかけ、相手の真意をくみ取ることに注力したインタビューをおこない、説得力と臨場感にあふれた文章としてまとめたものである。

大気圏外から地球を眺める、月まで往って還ってくる、宇宙遊泳をするといった体験が、その後のものの見方や考え方、人生観、宗教観、哲学などに大きな影響を与えたことがわかる。

大半の宇宙飛行士は、宇宙から眺める地球の信じられない美しさに感嘆するとともに、「模範的・典型的な」アメリカ人であるためか、宇宙に神的なものの存在を感じたという体験が多い。

最終章で登場するラッセル・シュワイカートは、神的なものは特に感じなかったという。そのかわり、地球がひとつの生命体であることを確信したという。ちょうど人間の体内にさまざまな他の生命体が宿っているように、地球もさまざまな生命体から構成されたひとつの有機体であるという知見は新鮮である。