新ネットワーク思考

アルバート・ラズロ・バラバシ(著),青木 薫 (訳)「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」

副題にあるように、「ネットワーク」によって世の中の様々な事象を説明しようという新しい理論を紹介した本です。
「ネットワークは、ウェブ上の民主主義からインターネットの脆弱さ、そして恐るべきウィルスの広がりまで、さまざまな問題を理解するための新しい枠組みなのである。(序より」)」
著者は物理学者で、インターネットの構造を研究しているうちに、さまざまなネットワークに共通する仕組みを発見したことで注目されています。
例えば「六次の隔たり(六次元モデル)」という概念があり、6人の知り合いを順にたどってゆけば世界中の誰にでも辿り着けるということがいわれていましたが、インターネットの世界を調査してみたところ、19ほどのリンクをたどることにより、あらゆるサイトに到達できるという、いわば「19次の隔たり」構造をしているのことがわかったのです。
このようなコンピュータ・ネットワークに似た「ハブとリンク」構造で、世の中の事象の多くが説明できるということです。
本書はトポロジーの考え方や成長するネットワークなど、新しい分野の科学を解説する本ですが、身近な例を取り上げなるべくわかりやすく説明しようという姿勢が感じられます。
本書を読めば、インターネットに限らず成功者がますます成功するような仕組みが、ネットワーク構造に由来するものであることがわかると思います。
また、著者らが研究を進めるうちに徐々に核心に迫っていくような展開がなされており、ネットワーク研究のドキュメンタリーとしても興味深く読むことができます。

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く (単行本 – 2002/12/26)