P・F・ドラッカー (著), 上田 惇生(訳)「歴史の哲学―そこから未来を見る (ドラッカー名言集)」 (ダイヤモンド社 2003/10)
ドラッカー名言集のなかの一冊です。
著者の言葉によれば、「本書は、私が社会について歴史から学んだことを集大成したものである」とのこと。
本書では、大転換期における知識革命、組織、社会、マネジメント、経済・政治・国家の変容、少子高齢化といったテーマにしたがって、ドラッカーの著作から箴言が引用されています。
「歴史にも境界がある。・・・1965年から73年のどこかで、世界はそのような境界を越え、新しい次の世紀に入った」(新しい現実)
「マネジメントとは事業に命を与えるダイナミックな存在である。そのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない」(現代の経営)
「大切なことは人文科学や一般教養と言われるすべてのものを、現実に照らし、意味あるものにすることである。人文科学を再びあるべき姿に戻すことである。物事を理解する光とし、正しい行動を示す指針とすることである」(新しい現実)
いずれの言葉からも、ドラッカーが社会を冷静な目で観察し、その変容の本質を見抜いていたことが伺われます。
1ページに1文の構成で読みやすい本ですが、先を急がず、短い文章に込められたドラッカーの意図を考えながら、味読したい書です。
本書をドラッカーの世界への手引書と捉えて、各著作にアプローチするのがよいでしょう。
(2008年5月27日)