養老 孟司 (著) ヒトの壁 (新潮新書 2021)
NHK-TV「まいにち養老先生 ときどき まる」の放送以来、「猫『まる』の飼い主として知られている」養老孟司の2021年の著作。
「人生を顧みて、時々思うことだが、私の人生は、はたして世間様のお役に立っただろうか。
徹底的に疑わしい」
というまえがきで始まり、自身の突然の大病、小学校時代からの思い出、コロナ禍やAIなどの時評、愛猫『まる』との別れなどが綴られる。
「人は本来、不要不急」
「五輪選手の身体は異常値を出す」
「現状は必然の賜物である」
など、意表を突くようなタイトルが続くが、
脳が作り上げた社会に埋没しないこと、
個性の強調よりも共感が大切、
自然の中で体を使うことなど、氏の基本的な考え方は一貫している。