シュリーマン(著) 古代への情熱 ~シュリーマン自伝~ (新潮文庫)
古代トロイやミュケナイの遺跡を発掘したハインリッヒ・シュリーマンの自伝。シュリーマン自身の記述がない部分は編者によって補筆されており、伝記とも読める書である。
ホメロスの叙事詩「イリアス」「オデュッセイア」に魅せられ、ミケーネ文明の時代にトロイア戦争が実際にあったことを固く信じ、その発見を生涯の目的として生きたシュリーマン(1822‐1890)。
幼少期の不遇な境遇から、実業家として成功し、その資産をもとに発掘に挑み、1871年、ついに地中深く眠っていた古代都市を発見するまでの歩みは、トロイアの実在に対する確固たる信念に支えられたものであったことがわかる。
シュリーマンは語学にも天才的な能力を発揮し、十数ヶ国語を自由に操ったという。音読による語学の習得方法は興味深い。