シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット

モーリーン・ウィテカー (著),高尾 菜つこ (訳),日暮 雅通 (監修) (原書房 2023)

英国グラナダテレビで放送されたシャーロック・ホームズシリーズの代表作と、主演を務めたジェレミー・ブレッドの役作りを多くの証言に基づき後付けた書。

ドラマの解説書としても、ブレットの評伝としても読める。

シャーロック・ホームズシリーズの映画化、ドラマ化は数多いが、グラナダテレビの同シリーズは、最も原作に忠実で、ヴィクトリア朝後期のイギリスの社会の雰囲気を可能な限り映像化している。

テレビのスタッフ以上に原作に忠実であろうとしたのはジェレミー・ブレットであり、原著の台詞をそのままドラマでも使うなど、ホームズのイメージそのままに演じきったといえよう。

原作を徹底的に読み込み、出来うる限りホームズであろうとしたジェレミーの姿勢には、執念すら感じられる。

最も見事な作は、本書でも賛辞を寄せている「六つのナポレオン」ですね。